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SALON 67 2014年9月 1日

新・建築探訪シリーズ :歴史的建造物探訪 №14

北鎌倉明月荘
【このコーナーでは神奈川県内に現存する、スクランブル調査隊メンバーがかかわったり
探訪した歴史的な建物やまちなみを紹介します。】

 明月院の奥、建長寺に隣接し、谷戸の緑に囲まれた明月荘。 木造平屋の主屋、別棟の3畳台目茶室がそれぞれの前庭や周辺樹林と繋がり、 四季の暮らしを楽しむことができます。玄関を挟んで東側に客間、西側に家族の生活の場と明確に分かれている主屋は、庭と二間続きの座敷・子ども部屋までが一体となり、家族のための日当たりの良い生活空間が確保されています。 昭和21年上棟の明月荘は、戦後の資材の乏しい時代にも拘らず海運業で財をなしたI氏が自宅として建設、 その後洋室の子ども室を増築、36年集中豪雨により背後の崖が崩落、42年売却。
時はバブル期、マンション建設計画が持ち上がり、46年に開発反対運動を受け県開発公社が購入、 53年神奈川県が公園用地として所有、鎌倉市に貸与、生涯学習センターとして利用され、平成22年老朽化に伴い閉鎖されました。

一時閉鎖された明月荘ですが、活用を望む市民の声に応え、23年主にみどりの手入れ開始、 24年ヘリマネ修了生により修繕活用計画の調査・報告書作成。25年1月成人の日、 大雪による倒木で屋根が損壊、地元NPO団体の資金提供を受け、緊急修理を行うアクシデントがありました。
 25年神奈川県と「神奈川まちづかい塾」が協働事業締結。 早速、「湘南邸園文化祭2013」に参加、明月荘を会場にコンサートや茶会で5イベントを開催しました。こうしたイベント等の実施による収益金を修繕費に充て、10年計画で明月荘の修理工事を行う予定です。 明月荘での「活用」とは単に部屋を借りるだけではなく、普段の掃除や軽微な修繕など 手をかける暮しの継続が建物を生き返らせる、と参加者は考えます。周辺樹林も同じです。 気忙しく疲れた時、体を動かす爽快感を体験しに来てください。人も元気になりますよ。
概 要
名 称:北鎌倉明月荘
所在地:鎌倉市山ノ内
建設年:昭和21年上棟(棟札)
設 計:不明
施 工:不明
  構 造:主屋・茶室とも木造平屋、和小屋組
(スクランブル調査隊 島田眞弓)

~特集~ 『防災月間』

突然の大災害
 ・建築士として出来る事! いっしょに備えてみませんか。

2011年3月11日 東北地方太平洋沖地震が発生。

 あれから3年以上になりますが、被災地では未だ解決されていない問題が山積みです。 一向に進まない復興・・・多くの被災者が、未だ仮設住宅での住まいを余儀なくされています。 被災地だけではありません。昨今、頻繁に発生するゲリラ豪雨、竜巻、さらに雪害、氷害と自然災害は、 今や私たちの脅威となっています。災害に対する考え方は、確実に変わりました。 建築士会では、防災に備えるため、2005年に防災の委員会が設置されました。

委員会の役割
  会員へ向け、防災に関するスキルUPのための企画運営、情報発信を行う事。
  県民へ向け、情報発信を行い、防災意識を高めるなど、社会貢献を行う事。

・協定関係にある行政等

1.神奈川県(2005.9)

 ・神奈川県内での災害における、被災住宅再建に係る相談教務

2.関東甲信越建築士会ブロック会(2008.4)

 ・他県の災害における、被災住宅の相談業務

3.神奈川県大規模災対策士業連絡協議会(2004.11)

 ・県内の士がつく12団体と神奈川県防災局安全防災部災害対策課と
 専門的な知識、経験を活かした支援活動

防災委員会のホームページより、最新情報を発信中、ご覧ください!!
※防災委員会では、各支部での防災活動をサポートします!!
出来ることから始めてみませんか! 私たちと一緒に災害対策考えてみましょう。防災委員会(雨森 隆子)

毎年、防災連絡網の見直しをしています。被災地住宅相談員の登録から、始めませんか!
(一社)神奈川県建築士会 防災連絡網 (平成25・26年度)

*これまでの住宅相談実績(派遣人数)

・H16.10.23.新潟県中越地震:44名 、 H19.7.16.新潟県中越沖地震:40名の派遣
*被災地住宅相談員の登録は、建築士会、支部長、防災委員へお問合せ下さい。

関東甲信越建築士会ブロック会 青年建築士協議会・東京大会 報告

6月19~21日の間、東陽町のホテルイースト21にて、関東甲信越建築士会ブロック会青年建築士協議会・ 東京大会が開催されました。
神奈川県建築士会・青年委員会は、地域実践活動を発表する第1分科会(発表者:熊沢恵美子/佐藤安紀子)において、 審査員特別賞を受賞しました!

■第1分科会 『未来を走れ』  報告 新木 聡美

 去る6月20日(金)に、平成26年度関東甲信越建築士会ブロック会青年建築士協議会東京大会が開催され、私は初めて参加してきました。第1分科会は,、各県の代表が実践活動報告をすると同時に、他県を参考に今後の活動のヒントを得る場でありました。 全体的には、建築士という小さな輪から地域という大きな輪へ発展させた実例・官民学一体の事業、地域の特色を活かした取組みなどが紹介され、社会に求められる建築士とは何か、建築士の可能性と10年後の建築士のつくり方を考える、等々学び多き報告会となりました。余談の中で多機能な資格である建築士についての取扱説明書なるものを作り建築士を知ってもらうなどという面白いアイディアまで飛び出していました。  
 そして今年度、本会青年委員会は会員増強への取組みをメインテーマに活動報告を行いました。ネット社会を生きる未来の建築士である若者は人間関係が希薄になりつつあると言われていますが どの県の活動においても言えることは人とのつながり・地域とのつながりが新しい活動を生み、ひいてはビジネスの創造につながるということ。それにはやはり「人づくり」が大切だろうと感じました。 特に本会の発表に対しては講師例会や一級建築士製図試験対策施設見学会への質疑も沢山頂戴し、 他県の関心の高さを実感しました。受験生へのアプローチは種を蒔くこととの総評も頂きました。 千葉県建築士会の発表でも建築士会は土壌だと言っていましたが、良い土壌で大切に“人”を育てる。 会員同士の繋がりや自己研鑽を重視し、建築士会の活性化につなげる。このような本会青年委員会の取組みは 将来的に大きな実りを得られるものと確信し、活動の重要性を再認識できたことは大きな収穫であったと思います。 損得だけで判断できない熱いものを感じ建築士としての未来を考える機会を得られたことで有意義な大会となりました。

< 受賞者の弁 >
◆熊沢 恵美子(左)
 初めて参加した関東ブロック大会で、発表者という機会に恵まれ、神奈川青年の魅力を改めて 実感しました。登壇での反省は多々ありますが、学んだ事を活かし、今後も神奈川イズムを伝えて行ける様  活動して参ります。
◆佐藤 安紀子(右)
 昨年に引き続いた活動報告が認められ、審査員特別賞を頂けたことは、 神奈川青年・発表チームの 一員として大変光栄です。この経験を糧に、今後も人との繋がりを大切に誇りと自信を持って活動に 取組みたいと 思います。

< 第1分科会 審査員として >  村山 勉

 『未来』を、人、事、場に託す各県の活動に、『継続性』が明確に示された県は少なかった印象がある。 本分科会は、テーマよりも、仕事づくりにつながる活動が上位になる傾向が強く、その中で『神奈川』 の活動に刺激され他県で同様の活動が動き出している事は、審査結果以上の評価に値するものであると、 審査員として自県にお伝えしたい。

■第2分科会 『未来を織りなせ』  報告 伊東 良平

 第2分科会では、コピーライターの 竹島 靖 さんから、氏の持論である「住育」の話を聞き、つづいて不動産会社営業本部長の 小原 尚人 さんから、賃貸住宅の実状と建築分野の動向、東京消防庁防災安全課の方から、建築物の安全性と建築物の使い手にとっての生活の安全性、などのお話を聞きました。 東京建築士会の 荘司 和樹 さんコーディネートのパネルディスカッションでは、 過去と今後の日本の人口動態から読み取れる、建築業界に求められるものの変化などが話し合われました。

■第3分科会 『未来を動かせ』  報告 小幡 剛志

 第3分科会では、「ひとづくり活動」として、本会・青年委員会が行ってきた、 けんちくラーニングや施設見学会の活動の目的を、青年委員長の奈良から報告。長野県建築士会からは 「しごと作り活動」として会員全員によるCPD参加への挑戦や、専攻建築士をお客様へのアピールしていく 目的を発表し、質疑等の自由討議が行われました。その後2部として、出席した各単会メンバーより各単会の活動報告をし、 自由討議が行われました。CPDと専攻建築士についても、熱い討議になっていました。

通称“関ブロ大会”
来年は群馬県の磯部温泉での開催です

日程:平成27年6月19日(金)~20日(土)
会場:磯部温泉「雀のお宿 磯部ガーデン」
テーマ『建築の種をまこう』
神奈川県での開催は、3年後の2017年です。

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支部・委員会活動報告  川崎支部

日帰りバスツアーにいってきました
川崎支部 明野美佐子

 7月9日(水)、川崎支部によるバスツアーに参加させていただきました。 台風8号の影響が心配されましたが、当日のお天気は蒸し暑いものの曇天で、まずまずといったところでした。 コースは6月に世界遺産に登録されることが決まったばかりの富岡製糸場、 その最寄駅で公開コンペにて設計され今年3月に竣工した上州富岡駅、それからちょっと足を延ばして2006年の 日本建築学会賞の富弘美術館と盛りだくさんの内容でした。富岡製糸場は明治3年にフランス人の指導者により建設されたもので、杉で骨組みを作りその間にフランス積で煉瓦をつんでゆく「木骨煉瓦造」という工法によるものです。操糸場はトラス構造が小屋組に用いられていたりフランスから持ち込まれたガラスが多用されていたりと、当時の日本にはなかったたくさんの技術が建設にあたって導入された様子が140年以上経た現在も良い状態で保存されています。 上州富岡駅は言うまでもなくこの製糸場のためにつくられた駅で、駅舎の建て替えは今回で3回目となるとのことです。 コンペの要求条件の一つであった「富岡製糸場の最先端追求の気概を継承する」 ことに対し煉瓦という素材を通して表現した町に対して開かれた駅です。

当日配られた資料によると設計者は、「富岡製糸場が地元の素材の集積でできていながらも、外からの技術者の手によるかつて見た事のない構築により、新しい富岡の風景が生まれた」ことに富岡の精神を見出したということです。駅というより公園のような、電車の利用がなくともそこに居ることがゆるされるような、そんな印象を受ける場所でした。 最後の目的地、富弘美術館はかねてからあった星野富弘氏の作品が展示された美術館の建替えです。建築誌等で拝見している限りではスチールの大小のサークルが集まってできた斬新な計画という印象でしたが、実際に足を運び詳細を知ると、そのプロセスは徹底した住民参加によるもので星野氏がいかに故郷を愛し愛されてきたのか、そして設計者がそれを大切にくみ取って形にしてきたことが伝わってくるものでした。 もう、富岡製糸場に夢を抱き建設に携わった方々や活躍した工女さんはこの世にはいません。けれど建築が現存することで当時の想いや熱意に触れることができます。そして更に今を生きる人々が過去からのバトンを受け取り未来に想いを馳せ形にしていくことで時代が繋がっていく、そんなあたりまえのことを深く実感し建築の魅力を再認識した一日でした。 またこのような機会があれば是非参加させていただきたいと思います。ありがとうございました。

地引網大会と建築見学会
湘南支部 佐藤里紗

 ●6月14日(土)天候にもめぐまれ、121名(大人96名・子ども25名) の参加で茅ヶ崎海岸にて楽しく地引網大会を行なうことができました。
毎年手づくりの地引網をモットーに、役員が半年前の予約、前日の買い出しから道具の用意、 当日は運営、ごみ処理まで一丸となって取り組みます。
獲れたてシラス等を味わい、バーベキュー、 宝さがし、ビーサン飛ばし、西瓜割など浜辺で楽しい半日を過ごしていただけたかと思います。

 ●6月28日(土)は建築見学会。最近竣工した二つの建物をどちらも設計・監理者 (西田さん、平山さん)の説明を伺いながら見学しました。

◆湘南港ヨットハウス
【設計・監理:ヘルム+オンデザインパートナーズ】
自由曲面をもった屋根が特徴的な建築で、中を歩くにつれて、 天井高やハイサイドライトによる光の移ろいが不思議な感覚でした。 改めてゆっくりと滞在して味わってみたいです。 また、頂いた資料にある工事中の型枠は田園風景のようなパッチワーク状で美しく印象的でした。

◆藤沢商工会館 ミナパーク
【設計・監理:平山建築設計事務所】
 藤沢駅のほど近く、藤沢商工会議所の活動拠点として、地元の施工業者の協力体制で施工された建築です。 前面のガラススクリーンが特徴的な外観で、太陽光パネルの設置やEV用急速充電器といった効果的な設備を導入し、 環境面でも地域をリードしていく試みもみられました。
(執筆協力:後藤組設計事務所 後藤智揮)

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「イスラム建築・都市」講演会記録
県央支部 大島淳二

 集団的自衛権容認、という文字が踊り始めたかと思ったら7月1日には閣議決定された。 私にはどうしても自分の少年時代に、訳も判らなかったが、何か不安を感じた時代の様子と重なってしまう。 そしてイスラムの世界を取り巻く状況は増々混沌として、遠く離れた日本には「負の報道」しか伝わってこない。 この二つの状況は全く別なものかもしれないが、私には共通項がある様に感じてならないのだ・・・ と偉そうなことを書き始めてふと手が止った。
イスラムの世界が創り上げてきた文化の素晴らしさは万人が認める事実であることは疑い様がない筈、 にもかかわらず、その社会環境がキリスト教文明社会とあまりにも異なった状況にあるのはなぜだろう。 さらに私には理解出来ないのが、イスラム建築の華と云われるスペインのアランブラ宮殿に世界中の国々から、 勿論キリスト教諸国からも人々が訪れ、その穏やかで静謐な空間に身を置いて驚きの声を上げている。 これを、建築文化と今のイスラム世界は別物だ、と切り捨てる人がいるのだろうか・・・やはり判らない。 又、イベリア半島をイスラム教が平和的に支配していた約800年間はキリスト教を容認していたという事実は 現在の状況と大きく違い考えさせられる事実だ。
 そのような状況は別にしても、建築設計にたずさわる人々の多くは「イスラム建築」に関心を示しているのは 事実と思いはじめてこの講演会が企画され、毎年開催されて5回目となった。参加者は毎回22名から30名となり感心の 度合いを推し量ることが出来る。県央支部の主催ではあるが、支部の会員よりも他支部会員そして一般市民や学生の参加が 見られたのは収穫だと思う。
この様に一つのテーマで続けてこられたのは建築士会の福井先生が快く講師を引き受けて下さった お陰と思い改めて感謝するのは私だけではありません。毎回イスラム世界の「建築と都市の文化」を紹介して頂きその 「魅力と魔力」を垣間みることが出来たことが、ひいてはイスラム社会を知る上でプラスになったと思う。
(写真:コルドバ メスキータ/撮影大島)

委員会活動報告   技術支援委員会

◆委員長から一言◆  (村島 正章)

今年度各部会本格始動してきました。今回は6,7月に2つの部会で講習会を開催しましたので、その概要をお伝えします。
今年も多くの講習会・見学会を予定していますので、多数の皆様の参加をお待ちしています。

■建築環境部会  (漉橋 博明)

 建築環境部会は昨年に引き続き温熱環境に関して、勉強会を月に一回実施し、 4月、5月に続いて6月3日には蓄熱をテーマとして水による蓄熱暖房とその温熱DATAについて講義があり、 7月1日には熱をテーマに熱とは、エネルギーとは、熱と仕事の関係、エクセルギーについて、 参加者が講師となり学習しました。
これからの勉強会予定については建築環境部会ホームページに掲載してありますのでぜひご覧下さい。

7月12日には平成26年度第1回講習会を開催し、建築(住宅を含む。) 設備設計の実務者であるyamada machinery office 所長の山田浩幸氏を招き 「住まいの建築設備の求められるもの」と題して現在の住宅設計に求められるニーズを踏まえた建築設備の基本について 講義を頂きました。 住宅の設備は近年考慮すべきことが多岐に渡り、その内容は複雑化している。 自然エネルギーの積極的利用、非常時を視野に入れた設備のあり方、建築主の省エネ・ 創エネ・蓄エネなどへの関心の高まりもあり、これからの建築設備に対する知識に加えて、 断熱・遮光・通風などの環境技術の知識も重要になって来るとの話がありました。
又、講師の関与された住宅の実例を興味深く聞くことができました。
10月4日には平成26年度第2回講習会を開催予定しています。「バウビオロギー~人と環境をつなぐ住まいづくり~」 と題して前橋工科大学教授(日本バウビオロギー研究会代表理事)石川恒夫氏よりお話して頂く予定です。 「バウビオロギー」はただ自然素材を使えばよい、高断熱にすればよい、 太陽光発電を組み込めばよいという断片的な要素だけを考えるのではなく、気持ちのよい生活空間と、 より少ないエネルギー消費の両立を求め、心身の健康と環境との調和を考えた住まいづくりを提唱するものです。

■木造塾部会  (角 栄子)

 「寝殿造・書院造から現代へ ~木造住宅の平面・構造・技術の流れを考える」をテーマに、 平成26年度木造塾第1回を6月28日(土)に戸塚駅に直結した戸塚区民文化センター さくらプラザで開催しました。
日本住宅史を専門とされている東海大学の小沢朝江(おざわあさえ)教授を講師に迎え、 現代の日本住宅の原型である寝殿造と書院造の特徴、その変化の過程についてお話しいただきました。 生活の変化に合わせて平面は変わり、また大工の道具・技術の発達でその造り、意味が変化していく。 理由付けが明快で、とても分かりやすい講義となりました。

以下は、参加された会員の鶴田茂之さんからお寄せ頂いた感想です。
「木造塾」は毎回楽しみにしている講習会の一つで、今回は寝殿造・書院造のお話が聞けると早々と申し込みをしました。 講師の小沢先生は、話し方、リズムが良く3時間も短く感じ、聞き入ってしまいました。
 寝殿造の構造の話から、建具の移り変わり、丸柱から角柱へ等、生活の変化からゆっくりと時間をかけ変わっていく 様が良く解り又、寝殿造・書院造の格の表現も楽しく理解できました。
後半の話では棟梁の「五意達者」が肝要、大工道具の話と何かやる時に道具から入る私には大変面白かったです。 私は以前、築100年近い岡山の民家の改修をやる機会がありましたが柱の樹種などその時にあまり調べ無かった事を 今回のお話を聞いて今、後悔しています。 地域によっての違いその民家の中での場所によって樹種の使い分け等勉強に成りました。(後略)
 木造塾部会ではこの後12月と3月に講習を企画しております。
山辺先生の木構造講義と宮内寿和棟梁のご講演の予定です。皆さまどうぞご参加ください。

委員会活動報告   景観整備機構委員会

□■□■□■□ 今月号は、スクランブル調査隊の活動を詳しくご報告します。 □■□■□■□

スクランブル調査隊  田代 智子

 先の6月7日・21日の2日間にわたり、藤沢市羽鳥にあるA家住宅調査を行いました。
今回の調査の主目的は記録保存、内容は主に実測および野帳作成・写真記録・現家主(小笠原東陽のひ孫にあたります。) へのヒアリングです。
調査隊のメンバー以外に藤沢市からも参加があり、創建時の手描き図面の提供などで協力をいただきました。
 A家は幕末から明治時代の儒学者、小笠原東陽の三男の自宅として、大正15年竣工となっています。
 小笠原東陽は、羽鳥村の名主である三觜(みつはし)八郎右衛門さん(本家)と小三郎さん(分家)に招かれ、 同地に耕余塾を開いた人物です。両家の多大な支援を受け、子供たちに学問を教え、のちに吉田茂をはじめとする 政治家や経済人を輩出したことで知られています。
建物構造は木造平屋建(和小屋)。屋根は軽い波板鉄板葺、下屋は鉄板平葺きとするなど、軽い屋根材採用は、 関東大震災からの教訓と推測されます。基礎は布基礎であり、砂地盤の上に建っています。
外観は南東にL型に続く縁側があり、深い下屋が特徴的です。
入母屋、寄棟、切妻の複合屋根が、複雑な形状を表し、 玄関は切妻屋根、床は洗い出しとなっています。
玄関を入ると、左側に日常生活のための仏間と台所があります。昭和36年に、台所はかまどのあった土間から、 当時はモダンなシステムキッチンのある部屋に改築されています。
右側に8畳二間続きの部屋があります。
調査後は報告書作成に向けて、主に文章をまとめる作業と、野帳をCAD図面にする作業にかかっており、 自身は後者を担当しています。
これまで部分的に実測調査に参加するばかりでしたが、図面を一通り作成することで、 その奥の深さと難しさを痛感しながらも、棟梁の思考過程に少しでも触れる事が出来、今回調査の収穫となりました。

青年委員会(45歳以下、または合格・入会2年未満の会員が参加できる若手集団です)

二級建築士 設計製図受験講習会を開催

 7月19日、二級建築士の設計製図試験受験者向けに、講習会を開催しました。
昨年の一級建築士受験生向け施設見学会に続き、今年は二級建築士の設計製図受験生に、木造在来工法の基本を理解してもらおうと、模型やパースを用いた解説を行いました。
計34名の受験生が参加しました。
矩計図の丸暗記ではなく、木造住宅の基本をビジュアルで理解してもらおうと
副委員長 伊藤誠一が製作した模型とパースを用い
青年委員 山中信悟が木造住宅の構造と構法の基本を解説しました。

7月の講師例会

 7月の講師例会は、税理士の石渡正樹さんをお迎えし、相続税法の改正と建築分野への影響についてお話いただきました。 税制改正で相続税がどう変わるのか、相続税対策とは何か、不動産の相続税評価はどのように行われるのか、相続税対策で行われる建築のカラクリ、などを学びました。

8月の講師例会

8月の講師例会は、臨時の講師例会として、花方威之会長に、建築士法改正についてお話いただきました。 今年6月20日、改正建築士法が国会を通過し1年以内に施行が予定されています。 今回の改正内容が何であり、なぜ行われ、今後どうなるのか、花方会長から直接お話を伺いました。

この秋、スキルアップセミナーを開催予定

青年委員会では秋にも講師例会やスキルアップセミナーを開催いたします。 メールマガジンやフェイスブックページなどでご案内いたします。
ご期待ください。

青年委員会の活動は https://www.facebook.com/YAKanagawa へ!

会員さろん

ここは、士会会員の皆様からの投稿をご紹介する 「さろん」 です。
今回は前号に引き続き、「会員のみなさまに聞きました。建築士会に入会して良かったことは?」の第二弾。
相模原支部・横浜支部のお二人に伺いしました。

「相談ができる方々がいる」  相模原支部   佐々木 香

 相模原市では、耐震補助制度を利用した耐震診断を行う為には、団体加入する必要がありますが、 建築士会がその一団体であった事が加入するきっかけでした。入会してすぐに「とりあえずの会」が、私には必要な会である事に気付きました。
建築士会の方から、耐震補助制度協力団体に向けた「木造耐震実務講習会」にお誘いを頂き耐震委員会入会前にも関わらず、 受講させて頂きました。
講習名どおり「実務に則した講習」でとても勉強になり、緊張感を持って受講する事が出来ました。
一人で建築業務に携わっていると、「これでよいか」「他にもっと良い方法は」と不安を感じる事がありますが、 そんな時に相談できる方々がいることは、とても心強く感じます。 今私は、建築士会に入会して本当に「良かった」と思っています。

「様々な出会いを楽しみたい」   横浜支部  安東 眞記子

 建築士会加入の目的は業務に関わる情報収集の為で、長い間積極的に活動するこ とはありませんでした。
積極的に参加するようになったのは、横浜支部主催の日帰りバス旅行に参加したことが始まりでした。
その企画は、建築に関わる見学内容がとても充実している上にお昼の食事にもこだわり、有意義で楽しい一日を満喫しました。
その後は美術館見学、夏の納涼会、ワイン同好会等、様々なイベントに参加しています。
建築士会の活動は、建築というキーワードのもと、実務に関わる知識の向上の場のみならず、 趣味の世界や感性を磨く機会にも恵まれます。加入するだけではなく、どんどん活動に参加する ことに意義があると思っております。
今後も建築士会という絆の元、様々な出会いを楽しみたいと思っております。

*もしかしたら役に立つかもしれない 豆知識

「あの 落合さんに聞きました!』 その1
第1回は「赤ワインのシミの落とし方」です。

楽しい食事の時間、せっかくおしゃれした白いシャツに赤ワインをこぼしてしまった・・・。
なんて経験、ありませんか? 
そこで!!!
赤ワインのシミの応急処置は、
「塩」をすり込ませて
帰宅後、すぐに洗濯をすることできれいに落とすこ とができます。
みなさんも、いざという時ぜひ試してみてください。
(横浜支部 落合 博)

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■ 表彰者インタビュー   「県民功労者表彰」

県民功労者表彰 受章
川崎支部 福井 通 氏

 福井通さんは、通算18年間、本会の副会長、常任理事、理事を歴任し、組織の充実強化と 建築士の資質向上に優れた成果を上げたとして、去る平成26年6月12日(木)に神奈川県県民功労者表彰を受章されました。
福井さんは、日本建築学会でも関東支部神奈川支所長、建築計画委員会空間研究小員会委員等で活躍され、 現在も「まちづくりと都市空間」をテーマとした講演会の開催を続けています。
特にイスラム建築・都市の講演会は日本建築学会だけではなく、本会でも連続講演として毎年開催されています。
今回の受章にあわせ、建築士になられたきっかけなど福井さんにお伺いしました。
■受賞の感想をお聞かせください。
 表彰式で「県の最高表彰の一つ」と知りました。黒岩知事自ら席に来られ手渡しいただき、 帰宅すると川崎市長から祝電が届きました。 大変名誉なことです。評価いただいた建築活動は、多くの方々のご協力とご支援の賜物です。
花方威之会長はじめご推薦いただいた方々に深く感謝いたします。
■福井さんのルーツを教えてください。
 1945年3月大阪市生まれ。終戦の年で、「近く大空襲がある」との情報で高知県の母方の実家に疎開。 その直後、住んでいたあたりは焼け野原になったようです。高校時代に初めて生地に連れられて行きましたが、 生活していた場所の痕跡が全く無いと嘆く母の悲しそうな表情が妙に記憶に残りました。後に風景・景観論を学び、 この事は福島原発同様、アイデンティティ喪失の問題と深く関わっていた事を知りました。

■建築士になられたきっかけは?
 きわめて偶然のきっかけでした。「もの造り」が好きで最初は機械設計が専門でした。 富士通で「トランスファ・マシン」と呼ばれる製造過程を自動化する仕事の一端を担っていました。 この頃(1960年代)、設計図面をセンサーで読ませ自社製のコンピューターとマシンを連動した 自動機を試作工場で見て感動しました。
全く新しいメカトロ時代が始まる予感がする充実した日々でした。 人生は不思議です。転機が訪れたのは盲腸で入院した数日間。見舞いに来た尊敬する上司が偶然に、 「建築が面白い、今からやり直せるなら建築を仕事にしたい・・・」と熱く語ったのがきっかけで、入院中ずっと考えました。 退院する頃は会社を辞し建築を学ぶ決心をしていました。 「建築」は「機械」の合理性を超えた存在だと気づき心を動かされたのです。
■建築士会との関わり
 「建築」を学び、卒業後も大学で教育・研究に携わることになりました。 神奈川県建築士会との最初の関わりは、士会主催の「卒業設計展」に代表出品したのがきっかけでした。 会場でご担当?の星野先生にお会いした気がします。展覧会出品が縁で資格取得後は自然に建築士会に入りました。 最初は青年部会で、後に教育講習委員会その他で活動しました。
■建築に対する思い
 私の専門は「外部空間」です。街を良くするには建物の間の空間が重要という立場です。建築学会では 空間研究小委員会という専門委員会で活動してきました。文字どおり「空間」に関する基礎的委員会で、 人と環境・空間との関係を環境心理、イメージを含む「空間」の視点で研究する分野です。 このような視点で建築を見ると、興味深い世界に踏み込むことになります。一気に飛躍すると・・・ 人の空間と猫の空間あるいは鳥の空間や蝶の空間とはどこがどう違うか等々。 最近の私の関心は、建築から人(人の空間)に移りつつあります。
■現在・今後の活動とプライベート
 所属大学の定年は70歳ですが、65歳で職を辞し「自由人」になる希望が1年遅れで実現。
現在は前期のみ1/週で1講義のみ引き受け後期は海外に出かける予定でフリーです。 海外は研究にかこつけ若い頃から出かけました。最初はヨーロッパでしたが、ある時建築のみならず全てが西洋偏重に気づき、 意図的にチベット等、辺境の地に行くようになりました。 スライドは、建築、集落・都市、屋外広告・サイン、広場・中庭等、カテゴリー別に撮り貯めてあり、時々講演などで役立てます。
趣味は映画、読書、旅、麻雀、マネーゲーム等いろいろ。高校時代まで高知の田舎でメジロをはじめ様々な野鳥を飼い、 蟹や鰻も自前の仕掛けで捕まえていました。この体験は空間研究の副産物として、先に記した 「人の空間/鳥の空間」あるいは「人の住処/蟹・鰻の住処」のような比較空間論への可能性があり、 建築に引きつけ展開する意味があるか自問中・・・。
受章おめでとうございます。今後も益々のご活躍を期待しております。

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※本誌の掲載記事は会員の皆様の自由な発言に基づいて掲載しております。
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