WES News 26 2000年 11月

平成12年度高齢社会の住まい
まちづくり研修会

2000年10月3日、10日厚木市にて
主催:(社)神奈川県建築士会
(社)かながわ住まい・まちづくり協会
協力:神奈川県福祉プラザ

毎年神奈川県内の各地に開催地を移してのこの研修会ですが、今年は厚木市で行われました。県や厚木市をはじめ多くの団体の後援により、 建築関係者と福祉・医療関係者合わせて一日目は63名、二日目のワークショップには44名の参加者がありました。 参加者へのアンケートでは良い情報が得られた。わかりやすかった。実例が参考になった。異業種の方と交流できて良かった等の 感想が寄せられています。

研修会に参加して・江藤 茂代

昨年、初めてこの研修会に参加した時、2日目に行われる“ワークショップ”って何をやるのだろう?と不安にかられたことを思い出します。 でも今年は人数に制限があったため、昨年楽しんだワークショップには参加できず、残念な思いでした。 第1日目は、4人の講師の方々の各分野での興味深いお話を伺うことが出来ました。園田眞理子氏は、海外の高齢者の住まいのインテリアに ついての著書がある方なので、楽しみにしていました。期待どおりのお話が伺え良かったです。又、 高齢者の自立維持と介護を支援する福祉用具の研究をなさっている藤井直人氏のお話は、よりよい福祉機器を作り上げるために、 一生懸命研究を重ね努力をなさっている姿に感動いたしました。この研修会に、まだ一度も参加したことのない方は、 来年是非ご参加なさることを、お薦めします。

「住宅改造ワークショップ」に参加して
山口 誉之

本年4月より、行政からの受託により「住宅改修相談事業」を実施することとなり、その担当となった私にとって、 「住宅改修」「住みよい住まいづくり」といった言葉の響きは当初、異分野の高い専門性を必要と感じる未知のものでした。 ところが、先日の「住宅改造ワークショップ」に参加させていただき、同グループ内で建築分野の方々と意見を交わし合ううちに、 改修の相談を受ける一人のスタッフが必ずしも全ての知識を持ち備える必要性はないのではないかと感じました。それぞれの分野で 経験を持つ者がそれぞれの専門性を発揮しあい、「住む人の身体状況に最適な環境づくり」の手伝いをする。 一つの目的達成のため意見を交わし合い、相談者の悩みに応える。今回の「住宅改造ワークショップ」は、住宅改修相談における チームアプローチの重要性を再認識させられた研修でした。
このような研修の場を提供してくださったまち協の方々、神奈川県建築士会女性委員会の皆様、本当にありがとうございました。 (社会福祉法人逗子市社会福祉協議会)

福祉部会の活動

バリアフリー住宅研究会

8/5 高齢者・障害者のための住宅改造相談の受け方
講師 社会福祉士・介護支援専門員 柴田幸子氏
住宅改造相談を受ける場合にはインテーク(相談者に面接して事情を聞く事)が大切で、相手の意図する内容を如何に的確に聞き出すか、 その為に面接者としての専門的な知識の必要性を話して頂きました。 実際にロールプレーイングを通して、相談者と面接者になり体験しました。個人差がありましたが、相談内容を相手に伝える難しさと同様に、 上手に聞き出す事の大変さを痛感しました。
8/24 介護保険制度を利用した住宅改修 その2
講師 神奈川県介護国民健康保険課 菊地原義夫氏
4月からスタートした、介護保険法のお話と、 介護保険制度の住宅改修に関する内容をより詳しく、説明して頂きました。特に福祉用具購入費関係、住宅改修費関係、 及び、住宅改修の支給限度基準額に関するお話は大変参考になりました。
10/14 住宅改造と身体機能
講師 平塚市健康課 理学療法士 中村さち子氏
建築関係の方と違い、現場の医療関係者のお話で、興味深い内容でした。個々の疾病の特徴と障害の解説は勉強になりました。 寝たきりにならない環境がいかに大切か、自分の将来の事と重ね考えさせられました。住宅改造は、それぞれの専門分野の協力体制が、 いかに必要か改めて実感できました。(菊地)

福祉のまちづくり研究会

福祉のまちづくりに関するアンケート(バリアフリーチェック)を、多くの方々にご協力頂いております。 回答後のアンケートのご返送はお早めにお願いします。この度、夫の転勤に伴い県外に転居するため、担当を離れますが、 引き続き、福祉のまちづくり研究会へのご協力をお願い申し上げます。(三浦)

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よこはま住宅フェア2000

「未来へつなぐ明るい住まい」をテーマに11月3日から5日まで、みなとみらい21地区のクイーンズスクエアで「よこはま住宅フェア2000」 が開催されました。今年は神奈川県建築安全協会との合同のブースで、建築士会横浜支部と女性委員会が共同で「温故知新」をテーマに パネル展示を行いました。大正時代の横浜の地図や写真もあり、昔の街並みを懐かしんで、見入っている方もいました。 まん中に囲炉裏を用意し、劇団民芸の方が着物姿でお茶の接待をして下さり、やわらかい雰囲気の演出でした。別のエリアでは未来生活の 体験や住まいに関する相談会が、又、ステージではミュージックLIVE、大道芸、中国雑技などイベントもあり、 みなとみらい21地区ならではの盛況でした。(成田)

囲炉裏のあるブース

誰もが生活しやすいまちづくりを目指して
福祉のまちづくり研修

~横浜市職員と市内設計事務所員との
合同研修~

この研修会は建築士会と公共施設の企画設計及び施設管理を担当する横浜市職員との合同で、10月6日と13日の2回に分けて開催されました。 研修は福祉のまちづくり条例の内容の周知と啓発を図り、公共施設設計や都市施設の設計に反映することを目的としたものです。 午前は、福祉局福祉のまちづくり課の平松課長から条例についての説明の後、グループに分かれて、交代で車椅子体験と高齢者疑似体験セット (写真のような)を身に付けて街を歩き、日常生活の不自由さ、困難さを身をもって体験しました午後は、横浜市総合リハビリセンターの職員による 「福祉のまちづくり条例と設計における留意点」についての講演、続いて疑似体験でわかった問題点と解決法をテーマにグループディスカッシヨン をし、発表、終了しました。疑似体験を通して見た街の問題点を持ち帰り、参加者それぞれの立場で解決の糸口に向かって 進んでいく事を期待します。そして、未体験の方には、特に、お年寄りの体形・体力の高齢者疑似体験をお勧めします。(酒井)

(装着用具)
・耳栓
・眼鏡
・首カラー
・ベスト
・肘の装具
・手首の重り
・手袋
・膝の装具
・足の重り
・靴
・杖

☆☆☆支部だより☆☆☆

横浜支部

10月27日「横浜港大さん橋国際客船ターミナル完成へ向けて」と題して設計者の講演がありました。(玉野)

湘南支部

10月5日「インターネット勉強会」を開催、16人の参加。NTTの職員の方が講師となり初心者にも分かりやすく好評でした。 新建築見学会は都合で来年度に行う予定です。(桑山)

研究部会の活動

子供の生活環境分科会

子どもの居場所はどこにあるのかをテーマに、今年は、小学校の学校開放と、横浜市で行われている「はまっ子ふれあいスクール」について 調べてみました。昨年、公園の調査を行った地域の内、5つの小学校の学校開放の実態を聞き取りなどの方法で調べました。 どの学校も校庭と体育館を、子ども達や地域の人達に開放して利用できる体制づくりができていました。 窓口は副校長先生がなっているところが多く、開放委員会(名称は様々)がお世話役です。利用できる時間帯は、校庭が、平日の放課後、 土・日曜日。体育館が平日の夜、土・日曜日。ほとんどが団体登録が必要で、少年サッカーや野球、少女バレーや地域のスポーツクラブなど。 子どもがふらっと行けて、自由に遊べるのは、平日の放課後(学校によっては第2と第4の土曜日の午前も)の校庭くらいでした。 はまっ子ふれあいスクールは、横浜市で平成5年から、子ども達が通い慣れている学校で、遊びを通した交流を図ることを目的として実施されている もので、3校の小学校でその様子を調べました。市の教育委員会が窓口で、スタッフは地域の協力者や教職員経験者からなるパートナーさんです。 放課後、校庭や体育館、はまっ子専用教室での活動が主で、その他の参加可能な日時や参加資格(登録の仕方)は、各々の学校によって少しずつ 違いがあり、内容も、管理面よりも子ども達が参加しやすいように、毎年変化しているように思えます。平成14年までに市内の全小学校で 実施予定とのことですが、昔ながらの地域活動が盛んなところでは、その必要性が感じられないとの声も聞かれました。その他、藤沢市の 「地域子供の家」の資料も加えて、子供の居場所についての考察を、次回の"集い"でご紹介したいと思っています。(浅見美穂)

CAD分科会
HO CAD知ってますか?

CAD分科会では、10月11日服部さんの事務所でCAD 勉強会を開きました。JW_CADのWindows版としてJWWがあるのは皆さんご存じだと思いますが、 使い勝手がDOS版とかなり違います。操作や画面がDOS版とほとんど同じなのが、HO CAD。今後このCADを使う人が増えそうです。(佐藤陽子)

鳥取全 国 大 会

10月26、27日と第43回全国大会が
開かれました。
フォーラムに参加して(村川まり子)

鳥取の風フォーラムには、4つのテーマがありま した。交流の風「世界・世代・世紀を超えて」、いにしえの風 「遺跡が問いかける、倭・和・環の話」、ふれあいの風「集まれ、まちのつわものども」、無限の風「みえてきた環境と情報の未来」で、 女性委員会が主催したふれあいの風に出席。この日集われたまちのつわものども=まちづくりの仕掛け人は5人。 それぞれの地域での個性的な活動について時間を忘れるほど面白く紹介してくれま した。その後、5つのワークショップに分かれ、私は、インタビューゲームを取り入れた町づくりのキーワード探しに参加。 これは難しかったです。ゲームとはいえこれほど頭を使っての緊張は久しぶり。それにしても鳥取県建築士会女性委員会の皆さんの生き生きとした 活動振りや作成された資料を拝見して、彼女たちもまたつわものどもの一員なのだと勝手な思い込みを抱いた有意義な1日でした。

”まち”にくりだして(田辺三佐江)

大会後、米子の仕掛け人の方の"まち"へ出ると、閑散とした商店街が有、危機的状態でした。大会前神奈川のまちづくり調査をしていると、 美しい歴史遺産の保存や安全に暮らすまちづくりで、鳥取ではそれ以前のどう生きるのかという、古き良き街並みと共存できない生に 直面したものがありました。震災の影響は道路・土蔵・住宅の屋根に見られましたが、古い商家は地震ではびくともしていません。翌日、 震源地に向かうが解らず、聞くこともできず、一番近い伯備線根雨駅周辺に行き、米子市内とは違う状況を感じましたが、被災地の人々が明るく 挨拶してくれて、県民の方皆さんが全国大会を歓迎してくれているのを感じつつ帰りました。倉吉の仕掛け人の方が1/12~18横浜高島屋で 日本の伝統展があるので風を感じたい方は是非にと言っていました。

地域の環境と共生する居住環境づくり
~建築士としての地域活動~

平成12年度全国女性建築士
連絡協議会参加報告

標記のテーマを掲げ7月21日22日の両日毎年恒例の全国の士会から女性建築士が集まる、全国女性建築士連絡協議会が今年は 東京都で開かれました。我が神奈川県士会も女性委員会メンバー総勢9名が参加、1日目の建設省住宅局の真鍋氏の「住宅性能表示制度について」 の講演、2日目の単位士会活動報告会に参加、全国の女性建築士の皆さんと熱心に、にぎやかに交流しました。以下はテーマ別分科会の報告です。

◇ 市民を巻き込みリード
「地域で考える環境共生」

岩手士会のゴミ問題、福岡士会の歴史的建物の保存運動の発表を基づき話し合いが行われた。いずれも街づくりに通ずる話として、 建築士が市民を巻き込みリードしていくことが大切であるが、建築士自身が問題意識を認識する必要があるということでまとまった。(大川)

◇ 地域の特性を生かした健康住宅
「健康住宅実践活動」

佐賀士会では「健康住宅研究会」を作り、佐賀の風土に合った住宅、佐賀の健康素材などを調査、研究その結果を資料として冊子にまとめた 等の活動発表、またシックハウス症候群の実例報告もあった。話し合いでは健康素材、化学物質などについて相当に詳しく、 仕事で格闘している人の話は迫力があった。 (佐藤陽)

◇ 仕事かボランティアか
「高齢社会問題」

東京士会からは、コモンスペースについて、大阪士会は、「安心、安全、やすらぎの家」出版について、千葉士会は、 1991年から行政協力で老人福祉に携わってきたなかから問題点提起、の発表。介護保険の話題が多く出、仕事かボランティアか、 設計料はもらえるか、建築士の関わり方等、話し合われた。(佐藤里)

◇ 自分の原風景を語る
「少子化と住まい」

北海道士会「こども・家・HOKKAIDO」と題し発表子供の生活の移り変わりを知るためには、自分の子供の頃どうだったのか、 自分の原風景を出席者全員が話すことになり、楽しく話し合いがなされた。 (雨森)

◇ 関心高まるコレクティブハウス
「集まって住む-コレクティブ、コーポラティブ」

各地におけるコレクティブ・コーポラティブホームなどの実現へ向けての動きの紹介、地域の特性、問題点を検討した。 家族形態の変化や単身のまま高齢になる割合の増加、社会や経済の状況がコレクティブハウス等に関心が高まっている要因と感じた。(間木)

◇ 行政、教育などとの連携必要
「社会啓発および子供とまちづくり」

岡山士会「夏休み・子供絵マップ・コンクールを開催して」は好きな場所、まちの未来など自由に書いた地図などを募集し、表彰するのだが、 毎年230~300人の参加と盛況、県の教育委員会の後援、行事の協賛事業となり成功した、との発表。兵庫士会「第一回建築子供プログラム」 は小学6年生対象に学校で建築や物づくりの楽しさ大変さを紹介するというもの。どちらの発表も情熱や継続することの大切さ、他の機関 (行政、教育等)との連携の必要性を感じさせられた。建築士として社会啓発の場はたくさんあると実感した。(浅見)

◇ 実践マニュアル作成
「環境と共生する住宅」

兵庫士会の活動は材料・エネルギー・緑の各班に分かれ、それぞれが検討した結果を持ち寄り、研究会メンバーの自宅をカンバスに、 設計を進めていくという形をとる事によって、環境共生住宅の「実践マニュアル」を作り上げた。この住宅に込められた多くのヒントを活用して 実設計に役立てたい。このほか他県からは、材料の研究・民家再生・雨水利用等の報告もなされ、健康住宅の資料をネット利用したい等、 環境に対する関心の大きさを実感した。(成田)

あとがき☆

今年もまた年末がやってきましたね。来年はいよいよ21世紀ですが、皆さんなにか大きな計画とか決意ありますか。 わたしは変わらず地味に参りましょう。(佐藤陽)

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