WES News 42 2006年10月1日

平成18年全国女性建築士連絡協議会

地域と共生する住環境づくり ~住まいの安全を守る~

7月21日、22日に標記協議会が開催されました。  会場は東京都内のヤクルトホール・建築会館他で、全国から女性建築士376名(男性も十数名含む)が参加。 神奈川からも25名(内男性7名)が参加し、一日目は活動報告が4士会から発表され、公開シンポジウム(住まいの安全を守る)では 構造計算偽造問題と法令改正の趣旨、建築士の倫理、本当に安全な住まいを求める(つくる、提供する)ために今、 私たちは何をするべきか熱く語られ、二日目はテーマ別に8分科会に分かれ、活動報告、情報交換、討論会が行われ、全体会で締めくくられました。    神奈川からも各分科会に参加し、高齢社会分科会では、福祉部会の下村さんが、子ども・住環境分科会では 子どもの生活環境部会の八重野さんが活動報告し、活発な活動が注目されました。二日間に渡り、熱く語られ、刺激を受けて参りました。(雨森隆子)

会場となった建築会館にて

子ども部会の活動を全国に発信・氷室 敦子

子どもの生活環境部会では今までもさまざまな機会に活動報告を行ってきましたが、最近ではワークショプのきっかけや、 運営方法について質問を多くいただくようになりました。そこで、今回の発表は「活動の裏側」をテーマにしました。 発表は北海道・福島・千葉に続き神奈川が最後でしたが、今年はそのどれもが子どもに関するものでした。 八重野さんの落ち着いた口調で、活動のきっかけ・主旨・運営方法を語り、 部会のモットー「できる人ができることをできる時に」やワークショップへの参加の仕方、 時間的制約の多い女性会員にも参加しやすい活動を目指していることなどを説明しました。 司会の大川さんのはからいで、活動をまとめた本のPRをさせていただいたところ、たくさんのご予約をいただきました。 発表の内容も盛り込まれており10 月発行予定です。子ども部会HPでご予約いただけます。
http://www.kanagawa-kentikusikai.com/iinkai/gijutsu/kodomo/

公開シンポジウム「住まいの安全を守る」に参加して
内沼 良和

昨今建築士制度が揺らいでいる中で国土交通省の方を講師として招き各方面で活躍している女性建築士の方が自分たちの立場からの意見、 方法論により建築の安全性、ユーザーへの理解、自らの責務、等のディスカッションがおこなわれました。  現在の建築士の立場、ユーザーの建築士への理解度建築士への要望など、まさに自分が抱えている問題を言葉にし、 討論することにより解決策を模索していくことは明確な回答がでないにしろ方向性は示してくれたと思います。  人と建築との長いつき合いの中で建築も人と同じで建築といかに対応し健康管理する事が安全で快適な生活を送れるというのが 再認識したところです。参加することによりさらに問題提起はありますが、様々な意見、考え方は次のステップに昇華するものと思います。

分 科 会 の 報 告

A分科会 「住まいの安全」・浅見 美穂

公開シンポジウムの中では、やはり設計者の苦労を一番共感できた村上先生のお話が身につまされるものでした。 失敗しないリフォームのためのアドバイスや、既存木造住宅の耐震補強改修へ誘導、構造上の裏付けのあるデザインの提案など、 まさにエンドユーザーの生活に密着した、建築士の重要な役割だと思います。しかし、あるべき業務を遂行できない状況に置かれている 設計者の立場や、設計監理の重要性を理解されにくい状況、責任のとれる業務には相応の報酬とセットであるという当たり前の主張等々。 日頃感じていることを意見として述べる機会があり、また他県のさまざまな取り組みを聞くことができて大変有意義でした。

B分科会 「環境共生」・有泉 ひとみ

自然が破壊され、環境との共生を意識せずには暮らせない時代に 建築士の立場からどのような提案ができるのか、 実際に埼玉県草加市でエコリフォームした住宅の事例を紹介しながら、各県の参加者と共に活発な意見がかわされました。 環境共生住宅とは、自然素材で囲まれ、太陽で暖房し、風で冷却し、緑で日射を防ぐ住宅・・・昔ながらの住宅です。 よく考えてみれば当たり前の事なのです。電気等が無い時代にいかに自然と上手く付き合うかを先人たちは、考えてきました。 建物のみでエコを考えるのではなく、その地域の気候・風土を知り、敷地全体で考える。私も、この分科会を期に、初心に返り、 実践していこうと思います。

C分科会 「健康住宅」・松本 美佳子

本分科会では、まずコメンテーターより、設計事例をご紹介いただきながら、健康に住まうには、①身体②心③すまい、 これらの健康バランスをとることが重要であるとの発表がありました。そして・・・参加者25名によるパワフルな意見交換へと・・・。 この分科会を通して、住宅設計に携わる建築士は、そこに住まう人間の機能を退化させたり、健康を損ねてしまう家とならぬよう、 また健康であるために必要な適応性・免疫性・治癒力・感性等を育てることのできる「家づくり」を常に心がけなくてはならない。 そのために、日々幅広く研鑽に励まねばならないことを改めて感じました。全建女には今回初参加となりますが、 エネルギッシュな女性建築士の方々に出会い大変刺激となりました。

D分科会 「建築士制度と士会活動」・金子 成司

参加者が14名の小さな分科会でしたが活発な意見交換がされていました。前半は、連合会の小黒先生より建築士法等の改正の 連合会の動きが主で後半は、各都道府県のCPD、選考実施動向でした。神奈川県は実施率は高い方ではありませんが「CPDの自動登録」 「事前の認定プログラム表の配布」「事務局の受け入れ態勢」どれをとっても他県より一歩リードしているようでした。 内容、意見交換については女性、青年だからこう思うということでなく今の建築士はこうあるべきではないかというところで男の私が聞いても 納得できる話ばかりでした。今回は神奈川一人、もちろん男性一人の中、割りと大人しくしておりましたが機会がありましたら、 次回は積極的に発言してみたいです。

E分科会 「歴史的建造物の保存と開発」・森山 恒夫

どんな猛者がいるのか(失礼)、こわごわ参加した全建女。E分科会は歴史的建築物に関わる発表そして意見交換。 たっぷりあった時間の筈が、全員の意見を貰いたいという進行役の仰せに従い各自が数分を費やすと、これで終わり。ん、んーっ、不完全燃焼。 僅かな時間を利用して、建物保存に苦悩する報告もあり、何とかできないか道を探している様子が他人事には見えず。 高知県での事例は建物を残すという努力と行動が実った報告であり、これを全国各地での建物保存に生かす議論が欲しかった。 保存がなされれば次は活用。「旧乾邸」の活用を模索する神戸の野崎さんと、我が「旧モーガン邸」の活用を進める佐藤さん達との 交流は良かったことの一つ。

F分科会 「子供・住環境」・松本 素子

この分科会は参加者も多く、大きな会場に多数の会員が集まり、参加者の関心の高さに驚きました。 発表は福島県の「みんなでつくろう!ドリームストリート」(てくてくお宝探検隊)と、千葉県の「建築と子供たちワークショップ街に 似合うベンチをつくろう」でしたが、その後の意見交換で他県でもそれぞれの地域で独自の手法で行政や学校・教育委員会などに アプローチをしたり、また地域の人とのコラボレーションしながら、楽しく無理なく活動に参加していることを知りました。 今後も各県の交流を通してお互いにいい手法は取り入れながら、発展していけるといいと思います。

G分科会 「高齢社会」・下村 旭

女性委員長の雨森さんから、全建女での発表の依頼を受け、少し悩みましたが発表させていただきました。 男性の発表は初めてとのことで、事前の準備を重ね、少し緊張感を感じながら当日を迎えました。 私と大西福祉部会長以外は女性ばかりのなか、まずは私からの活動報告をいたしました。パソコンの音声が聞こえにくかった点と、 手元資料を準備できなかった点が反省ですが凡そ無事に終えることが出来ました。 その後は各建築士会からの活動報告がありましたが、いろいろな展開が各地で繰り広げられているんだなととても感心をしました。 このような機会を戴き、また多面的に支えて戴き、本当に有難うございました。

H分科会 「集まって住む」・間木 宏美

45人くらいの大所帯での分科会でした。意見交換では岐阜のコーポラティブの事例や広島のまちづくり を含めたすまい方の提案の報告等がされました。集まってただ住むのではなく、コミュニティが重要。わざわざ集まって住まなくても コミュニティができていれば問題ないのではないか。同年代だけで集まるのはどうなのか、地域によって、 コミュニティの形や必要性もさまざまであることを感じました。このテーマに何年も続けて参加されている方が多かったようで、 (私も複数回です)又、来年にむけて、1日限りではなく、あらかじめ意見交換ができる方法を検討するなど、次回も期待できそうです。

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福祉部会  夏の研修会レポート
大西 正行

荒川河川敷、「あらかわ福祉体験広場」と名付く国土交通省の河川事務所・福祉の荒川づくり推進室の所管である。 車椅子使用・高齢者擬似体験用に実験的ではあるが、現実にかなり近い想定をした施設である。巾が順次異なっていく道、 Uターンするのに半径が異なる場、また一回転するのに120cmまたは150cmがよいのか、砂利敷きの道、グレーチングのある道、 斜めになった勾配を違えた歩道、ちょっとした高さのある所を設けての勾配の違う坂道、高さの違いがある段差等々 実際に車椅子を操っての体験は仮の行動と分かっていても、かなりの体力を使い、また車椅子使用のままの単独では走行不能となる場合も出る 始末である。今回の体験は今までの机上論や試乗的な経験とは違い、1人が同じ車椅子で1時間近く色々な場所を乗り続けた という今までとは違った体験であり、学習であった。暑い中、集中しての2時間ほどであったが、充分実りのある1日であった。

建築環境部会

当部会では、環境に関する各種見学会や講習会を行なっています。8/2日にヒノキ県産材で合板を作っている工場を、 8/30には、飯能の国産材のみを扱っている岡部木材店を見学に行ってまいりました。今後の予定として、 10/13(金)~15(日)に森林循環フェア(県産材・国産材の利用促進を目的としたイベント)を横浜産貿ホールにて建築士会共催で行ないます。 今回は第一回目ですので、多くの皆様のご来場をお待ちしております。詳しくは
http:/www.pref.ksnsgswa.jp/osirase/sinrin/kitukai/fes/をご覧下さい。

「岡部木材を見学して」・星野 将史

板物の製材工場に始まり、貯木場、原木市場、ストックヤード、そして最後に大工の作業小屋にまでご案内いただき、 岡部木材さんの取り組まれている家造りの一部を見せていただきました。有名な材木の産地だけあり、質の高い材料が近い山から出る事と、 国内の様々な産地からの材料の膨大なストックの量に圧倒されるばかりでしたが、岡部さんの親切な解説と、その材料を刻む大工さんとの対話もあり、 理解を深める事が出来ました。半日のちょっと早足の見学会でしたが、岡部木材さんの良い家を造ろうと言う熱意が感じられる見学会でした。

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青 年 委 員 会 だ よ り №3

関ブロ山梨大会無事終了しました!

6月16日に河口湖で行われた関ブロ山梨大会は、神奈川県建築士会から54名も参加していただき、無事終了しました。 参加者の方々からいただいたアンケート回答をいくつかご紹介します。
男性21名、女性14名計35名の回答を見ると
20代0人・30代8人・40代7人・50代14人・60代5人・70代1人
●大会参加回数は初参加19名が目立った
●金曜日の開催は日程調整に苦労した 19人
●受付はスムーズだった 28人
●誘導、看板については良い悪いが二分された
●懇親会費9,000円は高い 30人
その他の意見
◆開催の意義は大きいと思うが、意見交換が活発でないのが、さびしかった。
大会参加の感想
◆女性委員・青年委員の若手の方々が一生懸命なさっている姿が素晴らしかった。
◆発表の競争は不要。審査が不明であり、審査員も慣れていないし嫌な気分だけが残る。
神奈川大会への希望・提案
◆市民参加型のシンポジウムもやりたい
◆各県の交流をはかれる催しの企画を検討
◆神奈川らしさを考えないと・・・

神奈川大会をアピールする永井青年委員長

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