SALON 78 Web

Top >Salon78

SALON78 2016年 7月1日

新・建築探訪シリーズ :歴史的建造物探訪 №23

月山堂滴水庵(後篇)
【このコーナーでは神奈川県内に現存する、スクランブル調査隊メンバーがかかわったり
探訪した歴史的な建物やまちなみを紹介します。】

 前号より続く

建物概要
■大門:間口4.5m×1.65m、昭和35年頃移築される。切妻、和桟瓦一部銅板一文字葺き、丸柱建て、土壁塗り、上吊式の引分け戸や潜り戸、腰ナグリ材の縦張り、その上に塗り籠め格子が穿たれ、供待ち付きの瀟洒な数寄屋風、小粒ながらも手の込んだ門舎である。



■待合:2.2㎡、木造平屋、切妻前面軒深い招き屋根、銅板一文字葺き、壁は土壁、杉皮葺き、 昭和35年頃移築。単純な構成ながら、L字型の腰掛、下地窓付きで自然木や丸太材、 変木を使用した特異な形状と景観を成す。
※主屋と共に上記2件が登録有形文化財の答申を受ける






■寄付き4.5帖:平屋建て、起り付き片流れ銅板一文字葺き、昭和51年築後に2階建て居住棟が増築された。簡易的な茶室ともなり待合や便 所も付く、施主収集の解体古材や珍木を使うなど強い施主好みの造りになる。


■三重塔:昭和58年、長野の宮大工の手により移築された。(詳細不明)







■不動堂:昭和40年代、親族の供養のため、
清水寺を参考に、高床式勾欄を廻した小堂宇。
(詳細不明)






■元隠居所 寸松庵:
集大成的な施主好みの見事な数寄屋造りであるも、荒廃の姿は痛ましい。






■裏門

■その他待合

 現在では考えられないような、一好事家が私財を掛けて、築いてきた建屋群と庭園である。保全活用の継承者も得て、訪問者に喜ばれている。 そして、この度その努力への顕彰として国登録有形文化財に答申される運びとなり、 これからのますますの活用を心から祈念し、応援していきたいものである。(スクランブル調査隊 越智 英夫)

※前篇で「増田鈍翁」とあるのは「益田鈍翁」の入力ミスでした。お詫びして訂正します。

平成28年度 通常総会報告

 平成28年度(一社)神奈川県建築士会通常総会が、平成28年5月31日(火)午後2時から、神奈川県建設会館2階講堂において、1,087名(当日出席54名、委任状1,033名)の出席を得て開催されました。  本年度総会は、議長に金子(成)川崎支部長、議事録署名人に芝理事、浦理事の2名が選任され、質疑応答を経て、すべて原案通り承認されました。 金子会長は、総会の冒頭のあいさつにおいて、「建築の様々な分野の専門家として『リスペクトされる建築士』の集まりとなれるよう、引き続き本建築士会が一つにまとまることを大きな目的としたい」旨の決意を表明しています。
  それに向けた取組みとして承認された平成28年度の重点事業では、来年度から本会のシニア会員にさらに活躍の 場を設けることを目指す「シニア活用事業の検討」や、定款目的の『公共の福祉の増進に寄与』するため、様々な相談ニーズに対応する「相談事業の取り組み検討」などが挙げられています。 なお、本年度初めての試みとして、各委員会の平成27年度事業報告並びに平成28年度事業計画について、 各委員長等から直接各委員会の取り組みに係る説明を行っています。

 総会終了後に引き続き開催された懇親会では、芝理事が司会を務め、国土交通省関東地方整備局横浜営繕事務所 岩野多恵所長、神奈川県県土整備局建築住宅部 庄司博之部長、横浜市建築局 坂和伸賢局長をはじめ、多くの来賓の方々にご臨席をたまわりました。

 短い時間ではありましたが、さまざまな意見交換が行われる中、盛会のうちに無事散会となりました。  
  また、本年度は新たにオープンしたホテル・エディット横濱に場所を移して二次会が開催され、 多くの会員の方々の参加を得て、和やかな雰囲気のひと時を過ごしながら、 会員間の親睦と交流を深めることができました。
  なお総会の詳細については「掲示板」総会特集号(平成 28 年 7 月発行)に掲載しておリますので、あわせてご覧ください。

■平成28年度通常総会
日 時:平成28年5月31日(木)14:00~16:00
場 所:神奈川県建設会館 2階講堂
出席者:1,087名(出席54名、委任状1,033名)
表 彰:関東甲信越ブロック会平成27年度優良建築物表彰伝達式
議 案:1平成27年度 事業報告(案)
     2 平成27年度 収支・支出決算報告(案)
     平成27年度 決算監査報告
報告事項:1 平成28年度 事業計画
     2 平成28年度 収支・支出予算
     3 その他

支部総会特集

◆横浜支部◆

 第23回横浜支部総会が平成28年5月14日に開催されました。第1部総会:今年は2年に一度の役員改選の年に当ります。6年間務められた山成芳直氏が退任され、新しく渡邉一郎氏が選任されました。第2部講演会:「住宅設計と環境デザイン」のテーマで小泉雅生氏に。第3部:「英一番館」にて懇親会、盛況のうちに終了いたしました。(落合)

支部長就任挨拶
  ㈱渡辺組  渡邉 一郎
 
  この度(一社)神奈川県建築士会横浜支部支部長に就任しました渡邉一郎です。 浅学非才でありますが、宜しくお願い致します。山成前支部長は緻密かつ、きめ細かい配慮で支部運営されましたが、果たしてそのような運営が大雑把な性格の小生に出来るか心配です。支部会員の意見を聞きながら務めて行く所存です。 支部の歴史は23年、設立当時から活動委員会委員として参加させて頂きました。 建築士会は各業界団体と決定的に異なるのは、設計以外にさまざまな仕事を持つ方の集まりです。 施工関係や官庁関係、教育関係、そしてまったく建築と関係ない仕事を持った方も在籍されてます。 活動面の大きな柱として横浜市建築局はじめ官庁よりの通達の案内や講習会の開催、会員の技術向上のための研修、 支部会員間の連絡、親睦等です。ここ数年、神奈川県建築士会の副会長として金子会長を支える立場で本会運営に関わって おりますが、会員減少、それに伴う財政状況が大きな課題となっております。 横浜支部は神奈川県建築士会の3分の一以上の会員を抱える大きな組織です。 横浜支部の発展が本会の発展に繋がって行きます。その為には会員の増強が必要です。 そして入会した会員が、活動に魅力を感じる支部を目指します。支部活動に参加された会員が、 建築士として視野の拡大、技術的知識の向上、幅広い人脈形成につながればと思っております。  

総会記念講演 住宅設計と環境デザイン
安東 眞記子

 本年度の横浜支部記念講演会は、「住宅設計と環境デザイン」というテーマで、首都大学東京大学院教授小泉雅生先生をお迎えいたしました。象の鼻パークの設計者として横浜との関わりの深い小泉先生は、横浜ベイスターズ(元大洋ホエールズ)を意識してクジラの模様入りの可愛らしいジャケットを着用され、ユーモアとサービス精神あふれ、和やかな雰囲気の中講演していただきました。 「どのような住宅が今求められているか」というテーマを掲げ、過去の住宅作品の事例を説明したうえで、ご自身の作品を「環境デザイン」という視点で4点ご紹介いただきました。 羊毛の断熱材というアイデアに驚いた「ハウスジャパンプロジェクト中間実験棟」 建築写真からだけではわからなかった、環境を意識したディテールの豊富な「アシタノイエ」 光も風も通るデザインのみならず音による快適さを貝殻のタペストリで提供した「ENEOS 創エネハウス」 通風塔という機能が外観のアクセントとなっている「LCCM住宅デモンストレーション棟」 どの作品も十分に環境デザインをほどこされているにも関わらずそれが強調しすぎず、住宅作品としての質の高さに魅せられました。 有意義で楽しいお時間をいただき感謝しております。

◆中支部◆
総会と建築ラーニング・モアを終えて
新木 聡美

 5月28日、平成28年度中支部通常総会が執り行われました。冒頭挨拶にて澤田支部長より中支部の現在状況や今後の展望についての話がありました。中支部はよこはまラーニング「はまラー」や秦野みのげ文化の会との活動、土地家屋調査士会との相互講師派遣勉強会など、多方面との繋がりを活かした事業を行っています。「点が線になりそれが面となるよう」との支部長挨拶の一節の通り、様々なつながりを活かした事業展開を期待するところです。また、現在も他支部との共催企画が進行中とのことで楽しみです。来賓には渡邊副会長にお越し頂きご挨拶をして頂きました。 総会後には青年委員会との共催による「けんちくラーニング・モア」法規編①と題した講習会を行いました。 講師として青年委員の山中氏にお話し頂き、法規のなかでも解釈の難しい「小規模建築物(木造)基礎」と 「省エネ法の動向」について実務レベルの視点から解説して頂きました。図解や経験談なども踏まえた話は、 知らなかった方も知っていた方も改めてとても参考になる内容だったと思います。 私は中支部会員であり青年委員でもある立場で準備段階から携わることができ、 今回の共催がこれからも中支部と青年委員会とをつなぐ良いきっかけとなれば嬉しく思います。 閉会したのちはお楽しみの懇親会。終始なごやかな雰囲気の中、大変盛り上がった会となりました。

◆相模原支部◆
総会を終えて
山口 義弘

 平成28年5月28日(土)午後3時30分より、相模原支部の定期総会が行われました。
会場は、相模原市中央区にあります「プロミティふちのべ」でした。JR淵野辺駅から徒歩5分程度の便利な場所です。 この日は総会に先立ちまして、青年委員会より奈良 直史委員長と伊藤 誠一さんが来場され、 来年度に開かれる関東甲信越建築士ブロック会「かながわ箱根大会」のPRが行われました。
  総会は、来賓に一般社団法人神奈川県建築士会の副会長 長田喜樹氏をお迎えし、 相模原支部会員は20名が参加して行われました。総会終了後は、会場を移動し、懇親会が行われました。
神奈川県建築士事務所協会相模原支部長、並びに相模原市設計協同組合副理事長であります永田 健治氏もお祝いに駆けつけて下さいました。終始和やかな雰囲気の中、出席者の懇親を深めることができました。

◆県央支部◆
講演会と総会
椋 康兵

 平成28年5月20日(金)に、県央支部の通常総会が行われました。
今年度の会場は県央支部 総会としては初めて利用する「ザ・ウィングス海老名」でした。
  今回は総会前に、昨年度の建築士会全国大会石川大会で 表彰された、鈴木光雄氏による「半原宮大工矢内匠家の歴史・大工道具と歴史」の講演会が行われました。 江戸城の建築に深く関わった半原村(現在の愛川町半原)の宮大工矢内匠家の歴史から当時の建築様式や文化、 江戸城建築の施工体制のお話まで幅広く興味深い講演でした。
その後、県央支部通常総会が行われ、来賓には長田副会長をお迎えし、18名が参加しました。 総会後は、同会場で懇親会が行われました。
平成29年度に行われる青年建築士協議会の関東甲信越「かながわ箱根大会」のPRが行われました。
参加者自己紹介の際には、多くの参加者が総会前の講演会ゆかりの地「愛川町半原」に何らかの関わりを持っている事が判明するなど、終始和やかな雰囲気で、懇親を深めることができました。

◆湘南支部◆
勉強会と総会、そして懇親会
佐藤 里紗

 平成28年5月20日(金)午後7時より、藤沢商工会館会議室にて第43回湘南支部総会を開催しました。 総会に先立ち、6時20分より「耐震改修事例に学ぶ」というテーマで勉強会を行いました。 福田亮一氏に耐震改修優秀賞を受賞した鎌倉の「湯浅物産館」の事例紹介をしていただきました。 一般財団法人日本建築防災協会が実施しているこの表彰では、東京タワーや新宿三井ビルディング、 京都大学百周年時計台記念館など7件が選ばれています。続く総会は本会より大川副会長をお迎えし、出席者36名で執り行われました。各議案をすべて了承し、春日支部長が今年度の意気込みを発表し、閉会となりました。 懇親会では、相談役の山口氏に乾杯の音頭をとっていただき、新入会員の自己紹介や、今年度協定を結んで保存活用に取り組むことになった茅ヶ崎市民俗資料館の紹介、青年委員会からは平成29年度の関ブロ神奈川大会PRと、盛りだくさんな内容となりました。中締めは同じく相談役の津田氏がベテランらしく締めてくださり、お開きとなりました。 支部活動はこの後、6月26日茅ヶ崎の古建築見学会、7月9日の地引網大会と続きます。どうぞご参加ください。

◆小田原地方支部◆
田籏 正啓

 平成28年5月14日(土)、新たな会場、おだわら市民交流センターUMECOにて、平成28年度小田原地方支部総会が開催されました。28名の会員の皆様の参加を頂きました。来賓挨拶として、副会長 長田喜樹氏よりご祝辞を頂きました。 平成27年度諸報告、平成28年度事業計画として、4支部近郊の見学会、秋の一泊バス旅行として、明治村・犬山城の見学会、講習会(2回)、勉強会(木造住宅の省エネルギー計算、省エネ計算ソフト・EXCEL)、一級建築士試験監理員の派遣、行政との協力事業として木造住宅(巡回)耐震診断及び耐震改修工事(無料 相談会)業務委託」、市民の為の木造住宅耐震セミナー、他団体との協力事業、予算・支部役員改選が承認されました。 講演会として天守閣館長諏訪間順様より、「小田原城の整備と天守閣の耐震改修」を、その見識の高さと、 小田原地方支部のまちづくりのヒントを示唆して頂きました。青年委員会委員長 奈良直史氏より「関ブロかながわ箱根大会」のご案内がありました。 親睦会は、「八起(やおき)」にて、お互いの情報交換・近況報告など、和やかな雰囲気で、過ぎて行きました。 これからも、より多くの会員の皆様の、ご参加をお待ちしております。

◆川崎支部◆
講演会「巨匠から学ぶ」
大倉 利英

 川崎支部の第54回通常総会は平成28年5月17日(火)川崎フロンティアビルにて開催。第一部では昨年同様に村松副支部長の司会進行の下、金子支部長が議長として昨年度及び今年度の会務・事業報告と昨年度の会計報告、今年度予算について滞りなく説明が進み承認されました。 第二部は「巨匠から学ぶ」と題し、著名建築家の下で建築を学ばれた方々によるパネルディスカッション講演会を開催。 ご登壇戴いたパネリストの方々とその師は、 金子会長(横浜支部:コーディネーター)=坂倉準三、上原氏(川崎支部)=芦原義信、 赤川氏(川崎支部)=清家清、梅澤氏(湘南支部)=岡田新一、 明野氏(川崎支部)=磯崎新、櫻井氏(小田原地方支部)=黒川紀章の各氏。 夫々の入所のいきさつ、担当案件、事務所のエピソードを語っていただきました。

 作品や書籍だけでは知り得ない建築家「本人」の傍らで経験された様々な出来事・印象は、年月を経てもリアルな感覚を伴って参加者の追体験となりました。 夫々の建築家の個性は一言で表せませんが、「パーティーが開かれ多くの著名・文化人が集う(坂倉)」、 「仕事は特命、高い設計料、小所帯でも食堂が備わる(芦原)」、 「生まれついての先生、【私の家】は事務所としても適応(清家)」、 「敏腕コーディネーターで一匹狼、「アトリエ」を初めて使用(磯崎)」、 「一番政治家に近い建築家、国家首脳とも渡りあう(黒川)」、 「恵まれた環境で育ちノブレス・オブリージュを体現(岡田)」等々のお話が披露され、一般に受け止められている イメージとの違い、流石と思わせる一言が強く印象に残りました。 たくさんの興味深いお話は尽きず、金子会長の「巨匠の作品が今後どのように 取扱われていくか注視していきたい」とのコメントの後、第三部の懇親会へ続いていくこととなりました。

◆県庁職域支部◆
60年の「伝統」と未来への「飛躍」
中澤 一夫

 神奈川県、神奈川県住宅供給公社、かながわ土地建物保全協会の職員及びOB、総勢132名の会員で構成する県庁職域支部では、去る5月18日、平成28年度通常総会及び懇親会を滞りなく、かつ盛大に開催しました。会場は、昨年同様、横浜駅西口のイタリアンのお店を貸切りとし、出席者は42名(主催者側発表)で、満員御礼の状態でした。 庄司支部長からの挨拶では、とにかく士会行事に多数参加して交流を広げ、多くのものを得てもらうことが会の魅力であり、それを強化し、新規会員獲得にもつなげたいとの話がありました。続いて、本会からご臨席いただいた長田副会長より、士会の現状や対応などのコメントを含めたご挨拶と乾杯のご発声を頂戴し、和やかな懇談が開幕。更に、本会青年委員会の奈良委員長ほかの幹部から、来年6月に開催予定の「関東甲信越建築士会ブロック会青年建築士協議会 かながわ箱根大会」について、熱のこもったPR(記念バッジの配布付き)がありました。また、今年度3名の新入会員のうち1名は、県庁の事務の職員ながら建築士の資格を取った方で、自己紹介は、建物の課税評価に携わる中で得た建築への熱い思いを語るものでした。若手、中堅からベテランのOBまで、歓談の輪が尽きないところ、根岸副支部長による中締めをもって、「宴もたけなわ…」の会も無事終了となりました。 こうして、昭和31年4月16日の創設以来、今年で60年の「伝統」を重ねるに至った県庁職域支部は、 未来への更なる「飛躍」を目指す、「記念」と「祈念」の年度を迎えました。

◆横須賀支部◆
ベテランと若い力の融合
林 俊司

 5月26日木曜日、伊勢志摩サミットが開幕され、ベースを擁する当地横須賀でもなんとなく警備の気配を感じるなか平成28年度建築士会横須賀支部の通常総会が開催されました。行政からは吉田雄人横須賀市長を頭に都市部部長、市民安全部部長等々が来られ、士会本会からは長田喜樹副会長が来られました。吉田市長からは「会がより活性化してゆくように」との応援の言葉を頂き、長田副会長からは「リスペクトされる建築士であれ」とのメッセージを頂きました。さらに多数の関連団体の皆様を代表して、建設業労働災害防止協会横須賀分会長の永井様より「今日仕事が終わり、また明日に元気な姿で会えること。

 そのことが何よりも大事です」との胸にしみるお言葉を頂きました。加藤支部長による議長の下、昨年度の会務及び事業報告に続き全ての議案が慎重審議の上承認され、28年度の支部活動がスタートしました。 続く懇親会では、関係団体と共に盛り上り、会の幅広い活動を実感しました。また、新入会員は全員を壇上で紹介され、自己PRの場もあり、緊張しつつも先輩達と意見交換を行っていました。折しも青年委員会が平成29年度関ブロ「かながわ箱根大会『 継 』」の紹介に来られて積極的な活動が展開されており、明日の士会を担う若い力と、士会を長く導いてきた力と、今を牽引している力とが融合している場となっておりました。

会員『さろん』

 建築士会の活力は、本会の各委員会だけではなく、各会員の方々に支えられています。
今回は、平成28年にご入会された、川崎支部、横浜支部、相模原支部、湘南支部の方々から寄稿いただきましたフレッシュ特集です。
①お名前、②所属支部、③出身地、④お仕事・社会活動、⑤入会のきっかけ、⑥趣味・特技等、⑦抱負

① 前島 浩吉
② 川崎支部
③ 神奈川県川崎市
④ 株式会社エフアンドエム企画
⑤ 自身の周りに建築関係の友人があまり居なかったので勉強のためと仲間づくりのために入会させて頂きました。
⑥ 最近は子育てが趣味。6歳と3歳の男の子の父親です。学生時代は水泳、社会人になってからは空手をやっていました。
⑦ 建築士としてしっかりした知識と責任を持って仕事ができるよう努力していきたいと思います。また、士会で多くの人と出会い、多くのことを勉強させて頂きたいと思いますので宜しくお願い致します。

① 永田 洵一
② 相模原支部
③ 神奈川県相模原市
④ 株式会社湘南設計
⑤ 建築士会を通じていろいろな方と交流できることや新たな価値観を見つけ出すことができる場であると 感じ入会致しました。
⑥ 体を動かす事やトレーニングが好きです。毎年山中湖ロードレース大会に参加しております。
⑦ 『幸せだから笑うのではない、笑顔でいるから幸せになれる』設計し建物が完成して終わりではなく、使う人の気持ちや行動を考慮し、みんなが笑顔になれる建物を目指して日々精進していきたいと思います。

① 阿見 久美
② 横浜支部 ③ 鹿児島県
④ スタディ・ラボ
(一級建築士製図試験受験指導)
⑤ 建築士会の目的に共感し、建築士としての自己研鑽を積みたいと考えていたから。
⑥ 読書・野球 子どもの野球支援をしながらキャッチボールを楽しんでいます。横浜在住4年目の今年、 ハマスタデビューを飾りました。
⑦ 時代の流れとともに社会から求められる建築士としての職能も多くなる中、幅広い建築の知識を少しでも多く吸収し、一級建築士製図試験の講師として受験生を力強くサポートしていけるよう努めてまいります。

① 瀬田 健介
② 湘南支部
③ 東京都
④ 現在は個人です
⑤ 勉強会参加と情報取得の為
⑥ 散歩
⑦ 過去二十年余り工務店に勤めて大工の仕事をしてきました。親方や先輩方に学び技能を修得しましたが、一方で「経験と勘」に頼った仕事に不安を感じることが多々ありました。
資格取得を機に、誰も「経験」の無い大地震にも耐えうる木造住宅や耐震補強の仕事に携わりたいと思い、現在今後の道を模索中です。

このページのトップ▲

■ 表彰者インタビュー「関東甲信越支部建築士会ブロック会優良作品」

関東甲信越建築士会ブロック会
平成27年度優良建築物表彰 受賞
川崎支部 納谷 新 氏

 平成28年度通常総会の開催に先立ち、関東甲信越建築士会ブロック会平成27年度優良建築物表彰伝達式が行われました。 ここでは、受賞者 納谷 新さんのプロフィールと受賞作品をご紹介いたします。

■プロフィール
納谷建築設計事務所
1966年 秋田県生まれ
1991年 芝浦工業大学卒業
1991年 山本理顕設計工場
1993年 納谷建築設計事務所設立
≪受賞歴≫
2000年 東京建築士会住宅賞奨励賞 (s-tube)
2001年 ar+d賞入賞(宝珍楼)
2009年 JIA北海道支部住宅賞
2009年 アカシア賞(サッポロアパートメント)
2010年 第5回JIA東北住宅賞大賞2010優秀賞(鷹 ノ巣の2世帯住宅)
2011年 日本建築士会連合会奨励賞受賞(恵比寿の住宅)
2014年 パッシブデザインコンペ2014優秀賞(360°)
2014年 第58回神奈川建築コンクール最優秀賞(360°)
2015年 第59回神奈川建築コンクール優秀賞(天王町 project)

■作品紹介「天王町project」
建て主からの要望は賃貸住宅ということだけでしたので、敷地周辺のニーズを調査して住戸タイプを決定し、また様々なタイプの事業収支検討を行って建物規模を決定しました。 南北の2棟の住居棟とそれらを繋ぐ共有部による全体構成で、この共有部は光と風を届ける役目を果たしています。各住戸プランは中央に配した水回りを集約させた木製のコアと、その両側の寝と食の各スペースからなります。ファサードには、様々な色の屋外ブラインドを取付けており、内部だけに留まる事無く街を彩るデザインとなることを期待しています。 従来の画一的でない、新しい価値観を持った賃貸住宅を作りたいと考えました。

■ 表彰者インタビュー「県民功労賞」

県民功労者表彰 受賞
湘南支部 佐藤 里紗 氏

     去る平成28年6月10日(金)、佐藤里紗さんが、多年建築業務に携わるとともに、本会の副会長等を歴任し組織の充実強化と建築士会の資質の向上に優れた成果をあげるなど、産業の振興に尽くしたとして、神奈川県県民功労者表彰を受賞されました。佐藤さんは、通算18年間、理事、監事として本会の法人移行、組織改編等の中心的な役割を果たしてこられました。委員会活動では、第2代女性委員長を務められたほか、他委員会の委員も歴任。支部活動では裏方の会計業務、旧モーガン邸を守る会での保存活動や湘南邸宅文化ネットワーク協議会の事務局も。また、神奈川県建設工事紛争審査会委員、神奈川県建築士審査会委員でも活躍されています。 今回の受賞をお祝いするとともに、建築士になられたきっかけなどのお話を佐藤さんにお伺いしました。

■受賞の感想をお聞かせください。
大変光栄なことですが、事前にお話があった時はさしたる実績もない私がいただいてもよいものかと迷いました。長くコツコツ続けることに光があたるのなら、後に続く方達の励みになるかもしれないと思い直し、ありがたくお受けする気持ちになりました。 表彰式会場のすばらしい空間を堪能し、黒岩知事から表彰状と記念品をいただきました。ご推薦いただいた方々に深く感謝いたします。

■佐藤さんのルーツを教えてください。
1948年山口県下関市生まれ。茅ヶ崎、藤沢と湘南育ち。父の転勤で3回転校しましたが、子ども心に転校生はなかなか辛いものだと知りました。 親戚が横浜市中区柏葉の洋館に住んでいたことから洋館好きに。結婚後、あこがれの横浜に住みましたが、また藤沢に舞い戻りました。海のある町が好きです。

■建築士になられたきっかけは?
音楽か美術に関することをやりたいと思っていましたが、祖父も父も建築の仕事をしていたので自然に建築を目指すようになりました。東京芸術大学の建築科を目標にしていましたが夢破れ、専門学校に行きました。今和次郎先生をはじめ素晴らしい先生方に出会い、本当に楽しく勉強しました。卒業後、郡菊夫建築事務所に就職して厳しくも温かくご指導いただき、二級建築士となり、結婚後子育て中に勉強して一級建築士となりました。

■建築士会との関わり
夫婦で連合会のコンペに応募しようということになり、私が神奈川県建築士会に入会しました。そのコンペは結婚式場だったように記憶していますが、銀賞をいただきました。 しばらくして女性建築士の座談会をしますという案内があり、2歳の娘を連れて北仲通にあった建築士会に伺いました。その後39歳にして青年委員会に入り、諸先輩と共に女性部会の立ち上げメンバーとなり、女性委員会設立へと向かうことになります。 自分にできることで皆さんのお役に立てればと思い、WESニュースの創刊に携わりました。第二代の女性委員長を引き受けたことで建築士会理事となり、現在に至ります。

■建築に対する思い
純粋芸術でなく社会性のある仕事をしたいと思い、建築の道に進みましたが、建築は幅が広く、自分が何をしたいのか常に考えていなければ、足元が危ういと思います。最近よく頭に浮かぶのは「歴史に学ばない者に未来はない」という言葉です。 若い頃から古い建物が好きでよく見に行きましたが、 先人の知恵や技術の詰まった歴史的建造物は、未来への示唆に満ちていると思うのです。

■現在・今後の活動とプライベート
現在は夫と設計事務所を営む傍ら、藤沢市の建築審査会、大磯町のまちづくり審議会、神奈川県の建築士審査会、県の建設工事紛争審査会の委員と横浜市建築保全公社の理事をしています。 社会活動としては湘南邸宅文化ネットワークや湘南邸園文化祭にかかわり、地元では湘南藤沢文化ネットワークや旧モーガン邸を守る会で歴史的建物の保全活用に市民として取り組んでいます。ヘリテージマネージャー講座で学んだことが大いに役立っています。 建築士会では湘南支部の他、情報広報委員会でSALONの編集に携わり、子どもの生活環境部会やスクランブル調査隊では仲間に恵まれ、楽しく活動しています。
年齢に関係なくフラットにお付き合いして下さるのが楽しい理由だと思います。
こうした活動が建築士の存在を身近なものとして、
市民の皆さんに感じていただければよいなと思っています。
できる時にできる事を無理なく、楽しくがモットーです。
この度は誠にありがとうございました。

受賞おめでとうございます。今後も益々のご活躍を期待しております。

このページのトップ▲

支部・委員会活動報告

川崎支部
味の素㈱川崎工場「Umami Science Square」& 「ほんだし工場」見学会
川崎支部 富澤 雄史

 4月14日(木)味の素㈱川崎工場「Umami Science Square」&「ほんだし工場」見学会が川崎支部主催で開催され、参加しました。 「Umami Science Square」(味の素グループうま味体験館)は、味の素川崎事業所の創立100周年を機に京急大師線・鈴木町駅前に新設された見学施設です。見学コースは、3種類あり、それぞれ趣向を凝らしたうま味体験ができます。 見学会は21名の参加があり、参加者は川崎支部の催しに初めて参加された方や、顔なじみとなっている方など、職種(設計事務所や施工会社、建材メーカーなど)の異なった方々が集まり、うま味体験や施設見学を通して、互いに気さくに交流をしました。 見学会当日、川崎支部所属で味の素川崎事業所に勤務の方より、施設の説明がありました。味の素川崎工場は10万坪に及ぶ敷地からなり、京急大師線の3駅をまたぐ広さです。新設された見学施設は基本設計コンペにより選ばれたプランで、1階には360度の4面スクリーンでうま味の歴史を映像体験できるシアターや味の素のキャラクターアジパンダのグッズなどを販売するショップがあり、2階には料理教室用のキッチンスタジオやうま味体験ホールなどがあり、明るく開放感のある施設でした。 小学校の社会科見学としても利用される、ほんだし工場の見学では、かつお節削り体験やほんだしおにぎりを試食、アジパンダを囲んで集合写真を撮り、参加者同士が和気藹々と交流を深めることができました。 場所を移した懇親会には見学会参加者のほとんどの方が参加し、 年齢や職種の異なった方々と仕事について情報交換を行いました。川崎で仕事に携わっている経験により得た知恵や知識を、 参加者同士で共有することで、自分の仕事に対する視野の広がりを感じました。もちろんお酒を楽しみながら。

CPD・専攻建築士制度委員会
CPD・専攻建築士審査評議会 開催
委員長 折笠 幸男(統括設計専攻建築士)

■平成27年度 専攻建築士■
 3月3日の委員会による予備審査、16日開催の審査評議会及び連合会の審査評議会を経て、 下記の方々の専攻建築士登録が認められました。
新規申請[まちづくり専攻建築士]  1名 1領域
更新申請            64名85領域
[まちづくり]  7名  [統括設計]  47名
[構造設計] 10名   [設備設計]   3名
[建築生産] 14名 [棟梁]     0名
[法令]   3名 [教育・研究]   1名
全国 [新規] 23名 25領域
[更新] 1,008名 1,247領域
全国平均更新率 51.7%

■専攻建築士の活用■
・PUBDIS(公共建築情報登録制度)の登録項目となりました。 (登録建築家・JSCA建築構造士・JABMEE SENIOR・建築積算士も)
・エイブルが事業協力者として専攻建築士を募集
・阿久根市の設計プロポで建築設計の責任者の条件に「専攻建築士・登録建築家」が採用される。
・各地の建築士が専攻建築士として自己PR。
■平成28年度 専攻建築士 更新■
今年度の更新対象者数:111人
平成29年1月から登録更新が可能となります。
ご自身のCPDの単位数をご確認ください。 新規の方も、以前更新申請を忘れた方も申請可能です。
この機会にぜひ申請しましょう。

速報 熊本地震

熊本地震を体験して、
建築士として出来ること
柿本 美樹枝

 平成28年4月14日の前震、そして16日深夜の本震を実家、熊本で体験した。神奈川県建築士会所属の私がなぜ、熊本に居たのかというと、横浜に設計事務所を残したまま、母の癌治療のケアに寄り添うため、子どもと熊本に転居し、仕事で横浜とを行き来する生活を送っていたからだ。多くの方がメディアで地震被害状況をご覧になったことと思う。ここでは、私個人の体験を綴らせて頂く。私の住む地域では震度6弱との報道。平成23年東北の大震災で揺れた横浜では震度4を経験したが、比較にならない振動であった。  本震時はドン!と床下から突き上げるような衝撃、続いてガタガタガタと強い揺れ。続いてまたドン!  ガタガタガタ、ややおさまったかと思うとまた、ガタガタガタ、地震より一歩遅れて「地震です!地震です!」の スマホからの緊急速報の音声が、暗闇に何度も響き渡る。家がガクガクと軋むように揺れ始めた。 これが直下で起きる地震なのか!?これまで体験したことのない揺れ方であった。 立ち上がる事も出来ず、家族と共に布団をかぶって耐えた。正直、生きた心地がしなかった。 それは実に1時間ほど連続で起き、やっと少しおさまったかと時計を見れば2時30分を回っていた。 その後も朝方まで余震は続いた。

 幸い、住まいは本の散乱と食器が割れたこと、瓦が数枚落ちた程度で大きな被害もなく、 断水が1週間、休校が2週間あったが、避難生活を送らずに済んだ。本震後頻繁に、震度3や4の余震も続き、 睡眠不足に悩まされたものの、被害の大きな地域を思うと苦にならないのであった。地震後の油断ならぬ状況の中、 熊本県下では道路交通網が大混乱。阿蘇大橋の崩落だけではなく、市内にある多数の橋の柱脚部で亀裂に段差。 液状化でマンホールが突出し、周辺のブロック塀崩壊や建物の傾きで危険な場所も多く一部道路は通行止めや一方通行に。 それでも、街には救援物資を運ぶ他県からのトラック、医師団の車、自衛隊車、給水車、インフラ整備の車両が行き交う。 その様子に支援いただいていることを、本当にありがたいと思った。 被害を受けたのは設計監理中の現場である。築約130年の古民家を再生中であった。 1階軸組の耐震補強は、ほぼ施工が済んでいたものの、内壁は仕上がっておらず、 両側の壁で耐力を計算していたため大地震に持ち堪えられたかと心配であった。 前震後、施工者から「既存の瓦が落ちたくらいで倒れはありません。無事です。」 の報告に安堵したのも束の間、本震では改修予定外だった2階の土壁が崩落した。 伝統構法の地震力を逃すメカニズム通りの結果であったが、壁と屋根の補修工事が追加となってしまった。 現場は震度7を記録した益城町役場から9kmしか離れておらず、震度6強だった地域だ。倒壊を逃れたことに感謝した。 現場をどのように復旧するかは日本民家再生協会の先輩方に相談した。熊本県建築士会で購入した 「地震被災建物修復の道しるべ」も活用させていただいている。そして、「震災建築物の被災度区分判定基準及び復旧技術指針講習会」を受講した。住宅が被災した多くの方が「このまま住み続けられるのか?」と不安を抱えている。現在は建築士として復興に尽力したいと、個人で依頼されてくる方の住宅相談に無料で乗っている。
最後に、安否確認を下さった神奈川県建築士会の皆様に支援の申し出やお見舞いを多数頂きました。 大変心強く感じました。
誠にありがとうございました。

このページのトップ▲

※本誌の掲載記事は会員の皆様の自由な発言に基づいて掲載しております。
CopyRight © 2014 情報広報SALON All Rights Reserved.